2011.10.06 Thursday

路線バス乗りつぶし 大利根交通編 その1

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     今回は茨城県南のJR取手駅を起点として、北相馬郡利根町方面と龍ヶ崎市・稲敷郡河内町・千葉県我孫子市の一部に路線網を持つ「大利根交通自動車(通称:大利根バス)」のうち、運行回数の少ない運行系統をピックアップして3回に分けて訪問いたしました。

    ●大利根交通自動車 早井→取手駅東口


     今回最初に乗車したのは稲敷郡河内町生板の「早井」というバス停から、JR常磐線・関東鉄道常総線が乗り入れる「取手駅東口」とを結んでいる系統で、これは土曜・休日の取手駅方向に片道1便しか設定のないマイナー路線になっています。この路線自体は古くから運行していて、取手駅からの反対便や布佐駅からの運行もありましたが、「早井」バス停が所在する稲敷郡河内町はそのほとんどが農村地帯で、かつて町内には大利根バスの他、竜ヶ崎駅から関東鉄道、成田駅から千葉交通によるバス路線も通っていました。しかし利用者の減少によって現在はいずれも廃止となり、その代替手段として平日のみ運行されている河内町コミュニティバス以外、現状ではバス会社による自主運行路線としてもこの路線が唯一の存在になってしまったようです。

     今回乗車したのは土曜日で、早井発9時50分の便がその日最初で最後、よくよく考えれば土休日は河内町を走る唯一の公共交通機関となります。私は以前からこの路線の存在は知っており、それは平日早朝の運行だということで、乗車困難なものだと思っていました。しかし、最近になってこれが土曜・休日のもう少し遅い時間帯になっているということを知ったのですが、同社ではホームページ等が開設されておらず、時刻や運行系統の全容がつかめなかったこともあり、あらかじめマイカーで現地に下見に行きました。また、駅に向かう片方向にしか便がないため、合わせて早井までの交通手段についても検討した結果、関東鉄道竜ヶ崎駅からタクシーを利用することがベストだと判断し、今回はその方法を利用しました。ちなみに竜ヶ崎駅からは約15分、運賃は2,300円ほどかかりました。
     
     さて、その「早井」バス停ですが、そこは田園地帯の中に人家が点在する大変静かな場所で、バス停がそのまま折り返し地点にもなっていますが、その敷地は「転向場」というよりも、まるで民家の庭先を間借りしているようなものでした。その傍らに植物の茎が巻き付いてくたびれたポールが立っていましたが、そこには間違いなく土曜・休日の「9時50分」の表示があったものの、バス停の周辺には飲み物の自販機はおろか、歩いている人の姿もほとんどなく、もしここでバスがやって来なかった場合には、かなりの悲劇になるところです。
     
     ・・・・・・が、そんな心配をよそに発車時刻の1分前に大型のいすゞエルガ・ワンステップ車が回送で到着。その場でT字形の方向転換を行ない、行先表示もしっかり「取手駅東口」に変わりました。大利根バスは全線対キロ制運賃となっていますが、行き先申告による運賃前払い(前乗り・中降り)方式を採用しており、同社の特徴にもなっています。ちなみに早井〜取手駅間は730円でした。

     先述の通り、かつて当線は平日早朝の運行だったのですが、それがいつからか土休日ダイヤでの運行となったのは、利用者の流れが変わったのではなく、平日ダイヤだと週5回運行しなければならないが、土休日ダイヤなら通常2回の運行で済むという、権益確保のため最小限度の運行回数に留めていることが理由だと思われます。その実態を示すかのように「早井」から乗り込んだのは私だけで、結論から言えば「戸田井橋」までの単独区間では誰一人として乗ってくることはなく、やはり日常的に空気輸送になっているのではないかと思います。

     定刻通り発車すると、大型バスが通るには少々厳しい道幅の区間を走り、信号のない丁字路を左折。ここから先、終点取手駅の直前まで一部の区間を除いて県道・取手東線をひたすら進んで行きます。次の「萱沼」バス停付近で河内町から利根町に入り、小貝川に架かる「戸田井橋」までが同町内となり、大利根バスはこの町の公共輸送を一手に担っています。
     
     この先はセンターラインのあるそれなりに整備された区間ですが、やはり田んぼや畑が続くばかりで人家は少なく、沿線人口の高齢化などもあって、今では通学利用すらも皆無になっているようです。「加納」バス停の先には千葉県の栄町とに跨る若草大橋有料道路が2006年に開通していますが、土曜日の朝、まだ交通量も大変少なく、わざわざ有料道路を利用するクルマも限られている様子でした。
     
     田園地帯を坦々と進み、県道・立崎羽根野線が分かれる十字路が「立崎」で、ここからその県道を「もえぎ野台〜北方車庫〜羽根野台団地」を経由して取手駅に向かう同社の路線があり、その系統についても後述いたします。
     
     そして、当便はさらにまっすぐ進み、ようやく人家も徐々に増えてきますが、相変わらずこの区間も土休日片道1便だけのマイナー区間が続きます。

     地理的には東京からもそれほど遠い場所ではなく、バブル景気のときは人口のドーナツ化現象によってベッドタウンとして開発されることを見込んでいたようですが、景気の後退とともにそのような流れも落ち着き、たまたま布佐駅から近い栄橋周辺が開発されるに留まってしまいました。

     「羽中」バス停を過ぎると、右手に一戸建て住宅が建ち並んでいますが、これが「利根ニュータウン」で、大利根バスでは取手駅や布佐駅からバス路線を設定していますが、この早井線ではそのニュータウンの中には入らずに、いつまでもマイナー区間の県道を進んでいくだけです。当線のバス停にも「利根ニュータウン」というそのままの停留所名もあるのですが、そこは住宅地脇の単なる路上バス停でした。

     「布川入口」バス停を過ぎ、スーパーヤオコー利根店前の交差点を左折して、ここで少しだけ県道からルートが外れます。曲がって最初のバス停が「しらさぎ団地」で、ここからはこれまた土曜・休日の1往復しか運行のない「布佐駅〜しらさぎ団地」線が出ており、乗り場も共通ですが、あいにく当便の約30分前に出てしまっていて、同じ日に両線を乗車することができないので、それにも後日あらためて訪問することにします。

     「しらさぎ団地」バス停のすぐ先の四つ角で、布佐駅方面は右に分かれ、当便は直進。古くからの住宅地に入ると道幅が狭くなりますが、またこの区間も土曜・休日にわずか1回しかバスが通っておらず、もはや地元では路線バスは無いものと思われているのかもしれません。

     

     「布川横町」バス停の先で再び県道・取手東線が合流し、またそれに沿って進みます。正面の土手道に上ると、利根川の流れが一望でき、千葉県我孫子市とを結ぶ栄橋が架かっています。布佐駅方面の路線はこの橋を渡っていますが、その気になれば布佐駅までは徒歩や自転車利用で対応できるほどの距離で、通勤時間帯の道路混雑も嫌われて、今では同駅を結ぶ路線も平日10便・土休日で4便程度しか運行されていません。またこの栄橋を通って布佐駅と竜ヶ崎駅とを結んでいた関東鉄道のバス路線も静かに消えていき、東京の通勤圏内ではあってもバス事業の難しさを感じずにはいられません。

     さて、当便はさらに直進し、しばらく河川敷の区間を行きます。私は過去に一度だけ大利根バスに乗車したことがあり、当時は取手駅から布佐駅を経由して利根ニュータウンを結んでいた便に、取手駅→布佐駅間で乗車し、当時はこの河川敷の区間を通った記憶がありますが、今ではその区間も取手方向の便でしか通らなくなりました。ただ、当時の名残りで両方向共用ポールの停留所がいくつか存在し、現在の運行方向とは逆側に立てられているところもいくつかありました。

     大利根交通自動車は鉄道会社などの資本関係のない小規模経営の乗合専業バス事業者で、バスの保有台数や従業員数が限られている上に、マイカー利用が幅を利かせている土地だけに思い切った投資も難しく、利用が見込める地区へきっぱり運行体系がシフトされるのは致し方ないことだと思いますが、そんななか都市部や住宅地でもないのに、わずかでも路線免許を維持しているのは、他社と同様に何らかの将来性や、営業上のメリットが残されているからなのかもしれません。

     「押付本田」バス停付近で、利根川から支流の小貝川に沿って進み、「戸田井橋」で立崎で分かれた県道・立崎羽根野線とぶつかり、そのルートを辿っているもえぎ野台・北方車庫・羽根野団地からの路線が合流。現在の大利根バスではメインの営業ルートとなっていて、ここから先は運行回数が大幅に増え、土休日ダイヤでも毎時3〜5便程度の頻度となって、あとは終点まで同じ経路を進みます。

     交差点を左折して、戸田井橋を渡ると取手市に入り、最初のバス停が「戸田井」。このすぐ近くには取手松陽高校があります。この日はここで1名乗車があり、ここにきてようやく乗客が増えました。

     「戸田井」から2つ先のバス停が「東京芸大前」で、大利根バスはそれら2校の存在に大きく支えられているといっても過言ではないようで、平日朝夕の通学輸送はかなり活況を呈しているようです。そして「平石」バス停でももう1名客を乗せると、当便の利用者はここまでで、あとは終点まで変化はありませんでした。
     「城根」バス停で左折して、東4丁目交差点までいったん県道から外れます。やはり東京から一時間程度の通勤圏内であるため、住宅もかなり増えてきて、「早井」から乗ってくると沿線風景はなかなか変化に富んでいると思います。
     
     そして「新道」バス停から再び県道に戻り、この先は取手の市街地に入って、あとは常磐線の架道橋の手前を右折すれば間もなく終点の「取手駅東口」に到着となります。所要時間は39分でした。


    運行形態:A、路線図掲載:◯、乗車難易度:★★★☆


    ●大利根交通自動車 取手駅東口→立崎

     
     次に乗車したのは「取手駅東口」から「立崎」とを結ぶ路線です。終点の「立崎」には前述の「早井・取手駅」線でも通っていますが、これから乗車する「立崎」行きとは「戸田井橋〜立崎」間で運行経路が異なるものです。こちらのルートの立崎行きはほとんどの便が「羽根野団地〜北方車庫〜もえぎ野台」を経由しているのですが、平日の取手駅8時25分発の1便だけはそれらを経由せず、「羽黒」というところを通って「立崎」に向かいます。

     乗車当日は平日で、乗り場は取手駅東口ロータリーの「2番乗り場」からで、ここからは同駅を発着する大利根バス全便が使用しています。発車時刻の15分ほど前に常磐線快速電車に乗ってやってきましたが、乗り場には女子高生の長い列が・・・・・。もしかして、これがこのあと乗車する「立崎」行きにすべて乗り込むのか?と思っていたら、8時15分発の「北方車庫」行きと、8時20分発の「戸田井」行き(取手松陽高校スクール専用便)で捌けてしまい、私が乗車した8時25分発の「立崎」行きにはわずか4名を乗せただけで終わりました。わずかな時間差ですが、きっとこの便ではもう登校時間を過ぎてしまうということでしょう。

     乗車したバスは大型のいすゞエルガ・ノンステップ車で、全般的に旧年式車の活躍が目立つ茨城県内のバス事業者の中でも、大利根バスは車齢も若いうえにノンステップ車の比率も高く、車両面でのサービス水準は県内では最も高いはずです。運賃は前払い方式により、立崎まで600円を乗車時に支払いました。ちなみにバスに表示された行き先は「立崎」ではなく「立崎車庫」となっているのですが、その点についても調べていきたいと思います。
     
     発車すると、途中の「戸田井橋」までは「早井〜取手駅」線とは全く逆の経路を辿り、「戸田井橋」まで一部を除き県道・取手東線を走ります。また、そこまでは取手駅を発着する全運行系統が同じルートを並行しているため、平日ダイヤでは朝ラッシュ時に一時間当たり7便、日中時間帯でも毎時3〜4便は確保されており、このあたりも県内のバス路線としてはかなり健闘しているものと思います。取手市街を抜け「新道」バス停で最初に1名が下車。東4丁目交差点を右折して、利根川の土手道を進んでいくと車窓からは少しずつ人家も減っていきます。

     あとは「東京芸大前」〜「天神前」〜「戸田井」と3か所連続で乗降があり、戸田井橋で小貝川を渡ったあとは県道・立崎羽根野線へ直進します。

     そして羽根野台団地入口交差点でほとんどの便が県道を外れ羽根野台団地方向に入っていきますが、当便は県道をそのまま直進し、経由地名の「羽黒」とは、そんなマイナー区間の途中にあります。路線の分岐点となっている「羽根野」バス停で1名がバスを降りてしまえば、車内に残ったのは私だけになりました。運行回数と乗客の数がリンクしてしまうというよりも、戸田井を過ぎてしまうと学生の利用も一段落し、それ以遠では人の流れも薄くなるので、取手駅方向への送り込みと運行時分短縮を目的として途中の寄り道を省いているということなのでしょう。

     このあたりは龍ヶ崎市と利根町とが複雑な境界になっており、羽根野台団地を経由するルートは利根町内を走行しますが、この「羽黒」経由では「もえぎ野台入口」バス停付近までわずかですが龍ヶ崎市内を走行します。

     現在この「羽黒」経由の便は平日の朝に「取手駅→立崎」線が1便と、「取手駅→もえぎ野台」線が2便の計3便が片方向に通るだけになっているのですが、恐らくこのルートの方が歴史的に古いはずで、沿線で宅地開発が進んで徐々に利用者の見込める方へ路線をシフトしていき、一部の便がショートカットと免許維持を兼ねて残されたものなのでしょう。現在も当時の名残りで道路の反対側には取手方向のポールが残されている所もありましたが、それには時刻表や案内板が付いておらず、ただただ朽ちていくのを待っているかのようでした。
     
     車窓を眺めると、右手の高台に羽根野台・早尾台の住宅団地がある一方、左手一帯は荒涼とした田園地帯となっており、この県道は町境とともに風景の上でも住宅地と田園地帯の境界線のようになっています。
     北方中央交差点で、羽根野台団地や北方車庫を通ってきたルートが合流しますが、すぐ次の北方交差点で「もえぎ野台」経由便は右に分かれます。当便は平日片道1便しかない「もえぎ野台」非経由便(取手方向は土休日に2便あり)のため、そのまま県道を直進し、終点「立崎」を目指します。大利根バスが新興住宅地「もえぎ野台」を通るようになったのはまだ日も浅い2010年10月16日のことで、それ以前は当便の経路が所定でした。当便の場合は朝方の運行で取手駅から住宅地に向かうような流れがほとんど期待できないため、旧経路のままショートカットしているということなのでしょう。

     「もえぎ野台」の乗り入れ開始とは裏腹に、さらに奥地の「立崎」まで向かう便は利用者の減少もあって削減され、現在の運行回数は平日立崎方向が当便を含めわずか5便・取手駅方向が8便。休日に至っては立崎方向4便・取手駅方向5便(回数の合わない分は片道回送)となっていますが、今でも末端部分の利用者数は減少が続いているとのことでした。

     田園風景を眺めながら坦々と進み、「早井・取手駅」線が通っている県道・取手東線とぶつかるところが終点の「立崎」で、降車地点にはポールは立っておらず、乗車ポールの向かい側で降車となります。ここまで乗車したのは私一人だけ、所要時間は26分でした。

     バスは客を降ろすと、目の前の立崎十字路を右に曲がっていきましたが、そのあとを追ってみると、道路左側の奥まったところになかなか立派な敷地があり、そこが大利根交通の「立崎車庫」で、バスの行先表示が「立崎」ではなく「立崎車庫」となっていたのは、それが理由だったようです。将来の業務拡張を睨んで10年以上前に開設されたものと言われていますが、現在のところこの車庫にはバスも人員も全く配置されておらず、すべてのバスは運行回数も多い北方車庫に収容しているのだそうです。ただ北方車庫には洗車機がないため、時折り洗車のためにバスがここにやってくるのだそうです。いずれはこちらへすべて移転させたい意向もあるようですが、それに伴う回送時間の増加といった労務関係の都合もあって、なかなか話が進まないようです。


    運行形態:A+C、路線図掲載:◯、乗車難易度:★★★☆

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