2012.03.09 Friday

路線バス乗りつぶし 小湊鐵道編 その9

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    ●小湊鐵道 (大01) 大多喜車庫→粟又・ごりやくの湯


     房総一の名瀑布「粟又の滝」へは、小湊鐵道線・いすみ鉄道線との接続駅「上総中野駅」(停留所名は「中野駅」)、もしくは小湊鉄道線でお隣の「養老渓谷駅」からそれぞれ小湊鐵道によりバス路線がありますが、この路線を担当する長南営業所大多喜車庫から出入庫を兼ねたものがわずかに設定されており、今回はこのうち「大多喜車庫→粟又・ごりやくの湯」間を結ぶ「大01」系統に乗車しました。

     大多喜車庫から中野・粟又方面への路線は、全体の運行回数は限られているものの、前後の運用との関係でかなり複雑な運行系統となっており、現時点のものを簡潔にまとめると、次のような運行系統及び運行回数となっています。

    ‖01:大多喜車庫→大多喜駅→中野駅→老川→粟又・ごりやくの湯 往路のみ(平:1・土:1)
    大02:大多喜車庫←大多喜駅←中野駅←老川←筒森 復路のみ(平:1・土:1)
    B06:大多喜車庫〜中野駅〜老川〜粟又・ごりやくの湯 往路(平:1・土:1) 復路(平:2・土:3・休:1)
    ね05:大多喜車庫→中野駅→老川→養老渓谷駅 往路のみ(平:1・土:1・休:1)
    ネ06:大多喜車庫→大多喜駅→中野駅→老川→養老渓谷駅 往路のみ(平:1)


     上記の通り、大多喜車庫出入りの前後で大多喜市街を一巡し、大多喜駅を経由するものと、大多喜市街を周らずに直接出入庫するものとがあり、私が乗車した大多喜車庫12時10分発の「粟又・ごりやくの湯」行きは、大多喜市街を経由してから中野・粟又方面に向かうものでした。細かく見れば、この系統は平日・土曜の片道1便しかないようです。

     「大多喜車庫」のポールは車庫出入り口にありましたが、そこに表示された時刻表によればこれから乗車する「大01」系統は「12時15分」の発車予定となっています。しかし、当便は大多喜駅を経由して、もう一度「大多喜車庫」を通るため、HPでの時刻検索では乗り場が2か所あることになっていて、もう片方のポールの発車時刻が「12時10分」となっていたのですが、周囲を見回してもそのポールが見つからなかったので、その件について事務所に訊ねたところ、特にポールはなく、構内に停車しているバスにそのまま乗り込むということでしたが、この場合、市街地を大回りする分だけ、運賃が一区界分だけ高くなるということも教えられました。例のごとく、運行系統の全区間乗車を基本としている私としては、市街地区間も乗車しておきたいので、事務所にその旨を申し出て、構内で待機している「粟又の滝」と表示された、中型のいすゞLR・富士8Eボディのツーステップ車に乗り込んだのですが、側面の方向幕も単に「粟又の滝ゆき」と表示されているだけで、途中経由地等は一切省略されたシンプルなものでした。
     
     12時10分、バスは定刻通りに発車し、とりあえずここから乗車したのは私だけでした。
     直接粟又方面に向かう場合は、車庫前を通る県道・大多喜停車場線を左に出ていくのですが、当便は大多喜市街地をまわるため右に出ていきます。この区間は当ブログ「小湊鐵道編その7」で乗車した「勝浦急行・小湊駅〜牛久駅」線で迂回運行したときと同じ道で、造り酒屋(豊の鶴酒造)の前を通っていくのもそのときと同じです。
     
     桜台交差点で迂回した「勝浦急行」は右に折れて正規のルートと合流していましたが、当便は直進し、「桜台」バス停で1名ご高齢の女性客が乗車しました。大多喜は「房総の小江戸」とも呼ばれ、城下町としての景観を守り続けており、いすみ鉄道や養老渓谷などとともに、東京から気軽に来れる観光スポットとして、脚光を浴びつつあります。このバスも「商い資料館」や国の重要文化財となっている「渡邊家住宅」前を通るなど、なかなか良いロケーションの中を通り抜けていきます。

     
     大多喜駅入口交差点を左折して坂を上っていくと、いすみ鉄道と接続する「大多喜駅」バス停で、ここで2名の乗車がありました。このバス停は観光案内所となっている「大多喜町観光本陣」の正面にあり、ポールも建物の雰囲気に合わせてちょっと凝ったものになっています。
     
     ちょうど上総中野駅に向かういすみ鉄道の下り列車が、このバスとほぼ同時に発車していくのが見えたのですが、こちらもこのあと「中野駅」に立ち寄るため、ルート面から見ても完全な競合関係と言えますが、「道路を走る路線バス」と「線路を走るレールバス」、さて、どちらが先に着くことになるでしょうか・・・・・。

     大多喜駅を発車すると、斜め左の一方通行路を走行し、大多喜町役場の前を過ぎると、突き当たりが小湊バス大多喜車庫となる新丁交差点を右折。もう一度「大多喜車庫」バス停を通り、この2回目の通過時刻が「12時15分」なのでした。
     
     このあとは県道・大多喜停車場線を道なりに進み、上原交差点で国道297・465号線(重複区間)へ右折。それを500mほど走って、次の八声交差点で2つの国道が分かれるのですが、当便は国道465号線を辿って右折します。

     蟹取橋で夷隅川を渡ると、右手にいすみ鉄道の線路が寄り添い、このあとも同線と付かず離れずを繰り返しながら進みます。先ほど大多喜駅を同時に出た列車はもう先の方へ行ってしまったのでしょうか。

     最初に下車があったのは「部田」バス停で、ここで1名。そして、「久我原〜三又大橋」間では蛇行を続ける夷隅川がいすみ鉄道と入れ替わりに寄り添います。

     黒原交差点(バス停は「三又大橋」)で勝浦方面の路線が分かれ、この先は粟又方面の単独区間になります。

     沿線は過疎地というほど寂しい雰囲気は感じられませんが、人家はまばらで、いすみ鉄道と完全に並行していることもあって、途中乗降もなく、ただ坦々と進んでいくだけです。

     そして、再び線路が寄り添うと、踏切が作動しているのが見えたので、後ろを振り返ってみれば、大多喜駅を同時に出た列車が追い付いてきています。

     鉄道に比べ、バスは停留所の数が多いので、一瞬時間的には不利に感じられますが、このような地域ではそもそも乗降が少ないうえに、信号機や交通量自体も少ないので、所要時間の面ではほとんど差がないようです。一方、運賃の面では、バスは輸送量の絶対数が少ないため、どうしても割高にならざるを得ないので、両者の並行区間だけで見れば鉄道利用の方が安くなるのですが、中野駅を介して鉄道とバスで乗り継ぐ場合だと、両者の合算になるため、バスの通し利用の方が安くなるケースもあり、実際に計算してみると、大多喜駅から粟又まで向かう場合は、鉄道+バスが「770円」、バスのみだと「660円」と、確かにバス利用だけの方が安くあがりますが、鉄道支援の側面もあり、バスは運行回数を抑えるなどして、あえて競合を避けているようです。

     そして、いったん国道からはずれて、いすみ鉄道の終点「中野駅」には12時37分に到着。ここで3分ほど時間調整となりますが、程なくして列車も到着。その列車からは中高生などが降りてきて、バスに6名が乗り換えてきました。バスはライバルのようでいて、実はここでいすみ鉄道線に接続して粟又周辺の住民たちを運ぶ役目も担っていたのでした。ちなみに当駅は小湊鐵道線の終点でもありますが、バス路線は終始大多喜町内を運行し、通学利用者の関係もあって、いすみ鉄道線との接続に重点が置かれており、本数の少ない自社鉄道線とスムーズに乗り継げる便はほとんどありません。また行楽シーズンに運行されている粟又の滝への臨時バス(探勝バス)もいすみ鉄道利用促進のために、ほとんどの便を中野駅接続にて運行しています。
     
     12時40分、再び発車し、国道465号線に戻ります。
     次の「神社前」バス停を過ぎて、信号のない丁字路を左折しますが、国道も同じように左に折れ、及川十字路までしばらく続きます。
     曲がるとすぐに踏切を渡りますが、これは上総中野駅から五井駅とを結ぶ小湊鐵道線で、特に市町境を跨ぐ「養老渓谷〜上総中野」間の運転本数が少なく、それに応じるかのようにレールも大変細い30kgレールが使用されているため、この間で列車に乗ると激しく揺れます。

     それを過ぎると、地図を見てみてもこれといった目標物も見当たらない過疎地となり、人家もほとんどなくなりますが、バスの運行回数では、中野駅発着便が加わるため、この区間が最も多く、関東で最も遅いと言われる紅葉の時季には多くの見物客で激しく混雑する区間でもあります。このあたりは林業が多く、建築材料などを造る製材所がいくつか見られます。

     そして、少しひらけた場所が「老川」で、ここで3名がバスを降りました。このバス停の脇では現在新たに道路が建設中で、どうやらそれはこのあと当便が通る県道・小田代勝浦線のバイパスになるようで、近い将来、現在は狭隘路となっている粟又方面への往来が改善されるようです。現時点ではその先の老川十字路を左折して、狭くて急な上り坂となっている県道・小田代勝浦線を通行します。また、この老川十字路では養老渓谷駅方面は右へ、筒森方面は直進と、バス路線もそれぞれ3方向に分かれています。
     
     坂を上り切ると、その名も「面白(おもしろ)」という集落があり、そのバス停で1名下車。かつては狭隘路が続いていた道も徐々に改良され、来るたびに道幅が広くなっています。

     そして、「小沢又」バス停で1名、「原ノ台」バス停で3名が降りていきましたが、この区間は自由乗降区間になっているものの、それを利用する人はおらず、いずれも所定のバス停を利用していました。
     さらに進んでいくと、「秘湯の宿・滝見苑」前がバスの行先表示となっている「粟又の滝」バス停ですが、この日は地元の利用者しかおらず、通過。ちなみにその滝へはバス停脇の石段を下りていきます。
     

     バスはそこが終点ではなく、さらに奥へ進んで、単なる「粟又」というバス停で2名が降りると、車内に残ったのは私だけになりましたが、2010年7月17日にさらに一区間路線が延長され、それまではバスの方向転換のみを行なっていた回転場にバス停が設けられ、そこが終点の「粟又・ごりやくの湯」となります。ちなみに「ごりやくの湯」とは、その名の通り、滝見苑が運営する日帰り温浴施設で、バス停からさらに200mほど先へ歩いたところにあります。
     なお、ここまでの所要時間は45分、運賃は660円でした。


    運行形態:B+C、路線図掲載:◯、乗車難易度:★★★☆
      

    ●小湊鐵道 (養01) 粟又・ごりやくの湯→養老渓谷駅


     続いて乗車したのは、「粟又・ごりやくの湯」から、小湊鐵道線「養老渓谷駅」とを結ぶ「養01」系統です。現在の運行回数は駅方向が平日4便・土曜3便・休日4便、粟又方向が平日3便・土曜3便・休日4便です。ここでもそれぞれの運行回数にバラつきがあるのは、中野駅や大多喜車庫発着との関連によるものです。当系統は以前は土休日のみの運行で、私個人としては運行日的に乗車困難なものでしたが、2009年11月より平日も運行されるようになり、今回初めてバスで訪ねることができました。

     乗車したのは粟又・ごりやくの湯13時40分発の便で、4便中の2便目となります。乗車予定のバスは、前述の「大01」系統の到着時点で、すでに回転場で休んでおり、この間の45分は周辺を散策して時間をつぶしました。車両は中型の三菱エアロミディMK・ツーステップ車です。
     
     紅葉シーズンの養老渓谷周辺は、マイカーによる見物客が押し寄せ、この日乗務していたドライバー氏の話では、過去最悪の状態で、「駅〜粟又」間の往復に6時間を要した経験があるというほど、激しい混雑となったそうですが、そんな時季とは関係のない、ごくごく普通の平日は、それこそ人の姿も見かけないほど、大変ひっそりしています。発車時刻になって、乗車したのは私だけで、観光スポットである「粟又の滝」バス停でも乗車はなく、結論から言えば、この日当便では途中からの乗車は全くなく、終始私一人だけで終わってしまいました。
     
     また、この路線を含む養老渓谷周辺各線では、いずれもフリー乗降区間となっており、所々にそれを案内するポールが立てられていますが、そこには「メロデーバス」と書かれてあるものの、今ではそんなメロディを流しながらは走っておらず、もしハイキングの途中でバスに乗りたくなった場合は、その接近には注意を払っておく必要があります。
     
     当系統は途中「老川」までが「大01」系統と同じ道を行き、そこから先が養老渓谷駅方面の単独路線です。あまり高い山々のない千葉県ですが、それでも窓から景色を眺めていると、それなりに山深さが感じられます。

     そして、狭くて急な坂を下ると国道465号線と交わる老川十字路で、ここから養老渓谷へは道路標識では一本隣りを通る県道・市原天津小湊線が案内されていますが、バスはそのまま直進して、旧道を進みます。新道はトンネルで貫いていますが、バス路線は小田代の集落を通るため、狭い坂道を上ります。

     そして、坂を下ると新道とぶつかり、右折。「葛藤」と書くバス停がありますが、これは「かっとう」ではなく「くずふじ」と読みます。ここからが養老渓谷の温泉街で、「天竜荘前」「養老館前」といった旅館名そのままの停留所名がありましたが、あいにく乗降どころか、人の姿もほとんど見えず、いくら冬場の平日とはいえ、かなり寂しい状況でした。特に最近はアクアラインや館山自動車道の開通によって、マイカーでは完全な日帰り圏内になってしまったこともあり、それらの宿泊施設も日帰り入浴客相手にシフトせざるを得ないのかもしれません。
     
     温泉街の途中で大多喜町から市原市に入りますが、風景は全く変わらず、温泉街が終わり、崖っぷちの坂を上ると、小湊鐵道線の踏切があり、「朝生原神社前」バス停で自由乗降区間も終了。そして、県道から左にそれたところが終点の「養老渓谷駅」となります。ここまで所要時間は20分、運賃は380円でした。

     最近はテレビドラマやCMの撮影でたびたび登場する小湊鐵道線ですが、それによって鉄道線に乗車することを目的とした観光客は確実に増えており、ここ「養老渓谷駅」も駅構内に足湯を設けたり、和歌山の「たま駅長」にあやかって、「駅ネコ」が登場するなど話題づくりに事欠きません。残念ながら初代駅ネコの「ミーちゃん」は昨年11月に他界しましたが、今はその子供たちが後を継ぎ、「なおき」「ねね」「ゆうた」の三匹が列車の到着を待っており、たとえバスから列車の乗り継ぎが合わなくても、時間つぶしに困ることはないはずです。
     
     


    運行形態:C、路線図掲載:◯、乗車難易度:★★☆☆
     

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